「トイレが近くなった」「くしゃみをした拍子に少し漏れてしまった」——40代後半から50代にかけて、こうした変化を感じる女性は少なくありません。年齢のせいだからと我慢しがちですが、実は更年期に起こりやすい体の変化のひとつです。私自身、くしゃみをした拍子に「あれ」と感じて、誰にも言えずひとりでモヤモヤしていた時期がありました。原因を知り、正しく対策すれば改善できることも多いので、恥ずかしがらずに向き合っていきましょう。
更年期になると頻尿・尿もれが増えるのはなぜ?
更年期になると卵巣の働きが低下し、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンには膀胱や尿道、骨盤底筋(骨盤の底で内臓を支える筋肉群)の柔軟性やハリを保つ働きがあるため、その減少によって次のような変化が起こりやすくなります。
- 膀胱や尿道の粘膜が薄くなり、刺激に敏感になる(頻尿・尿意切迫感)
- 骨盤底筋がゆるみ、尿道をしっかり締められなくなる(尿もれ)
- 膀胱の柔軟性が落ち、少ない尿量でも尿意を感じやすくなる
尿もれには、せきやくしゃみ、重いものを持ったときにお腹に力が入って漏れる「腹圧性尿失禁」と、急に強い尿意を感じてトイレに間に合わない「切迫性尿失禁」があり、更年期以降はこの両方が混ざって起こる「混合性尿失禁」も珍しくありません。
こんな症状があったら要注意
- 日中のトイレの回数が8回以上ある
- 夜中にトイレで1回以上目が覚める
- せき・くしゃみ・笑ったときに尿がわずかに漏れる
- 尿意を感じるとすぐにトイレに行きたくなり、我慢するのがつらい
- トイレに間に合わず漏らしてしまうことがある
これらは加齢による「よくあること」として見過ごされがちですが、放っておくと外出や旅行を控えるようになるなど、生活の質(QOL)に影響することもあります。1つでも当てはまる場合は、対策を始めるサインと捉えましょう。
何科を受診すればいい?
頻尿・尿もれの症状が強い場合や長く続く場合は、婦人科または泌尿器科への相談がおすすめです。最近では「ウロギネコロジー外来」「女性泌尿器科」といった、女性特有の排尿トラブルを専門的に診る診療科を設けている医療機関も増えています。市販薬やセルフケアだけで改善しない場合、骨盤臓器脱など別の原因が隠れていることもあるため、自己判断で放置せず一度相談してみましょう。
自分でできる対策
1. 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
骨盤底筋を意識的に締めたり緩めたりするトレーニングです。仰向けに寝て膝を立て、肛門と膣を締めるように力を入れて5秒キープ、その後ゆっくり緩める、を10回程度繰り返します。座ったままや立ったままでも行えるので、家事の合間などに毎日コツコツ続けることが大切です。
2. 水分の摂り方を見直す
水分を極端に控えるのは脱水や便秘の原因になるため逆効果ですが、就寝前の水分摂取やカフェイン・アルコールの摂りすぎは膀胱を刺激し、頻尿・尿もれを悪化させることがあります。日中はこまめに、就寝前2〜3時間は控えめにするなど、飲むタイミングを工夫しましょう。
3. 体を冷やさない
体が冷えると膀胱が刺激されて尿意を感じやすくなります。特に下腹部や腰回りの冷え対策(腹巻き、湯船につかる習慣など)は、頻尿対策としても有効です。
4. 適正体重を保つ
体重が増えると腹部の脂肪が骨盤底筋を圧迫し、尿もれが悪化しやすくなります。無理な減量は禁物ですが、適度な運動と食生活の見直しで適正体重を保つことも、長期的な対策のひとつです。
頻尿・尿もれケアグッズの選び方
セルフケアと並行して、専用の吸水ライナーやサポート下着を活用するのも安心につながります。選ぶ際は、吸水量(少量の尿もれ用/多め用)、素材の肌触りや通気性、においを抑える機能の有無などをチェックすると、自分の症状や生活シーンに合ったものが見つけやすくなります。骨盤底筋トレーニングをサポートする専用グッズも市販されているので、続けるのが苦手な方は取り入れてみるのもよいでしょう。トレーナーが推奨するような内転筋・骨盤底筋を同時に鍛えられる器具を使えば、正しいフォームを動画で確認しながら自宅で継続しやすくなります。
サプリメントで内側からケアする選択肢も
生活習慣の見直しと合わせて、サプリメントを取り入れる方も増えています。なかでも「ノコギリヤシ」は、尿の悩みに関心がある方に選ばれることの多い成分です。毎日の健康習慣のひとつとして、こうしたサプリメントを検討してみるのもよいでしょう。
漢方薬という選択肢
加齢に伴う排尿の悩みには、昔から漢方薬が用いられてきました。なかでも「八味地黄丸(はちみじおうがん)」は、頻尿やむくみ、排尿困難感などに使われる代表的な処方で、ドラッグストアなどで購入できる第2類医薬品です。漢方薬は体質(証)によって合う・合わないがあるため、初めて試す場合は薬剤師や登録販売者に相談しながら、自分に合うかどうかを確かめて取り入れるとよいでしょう。
まとめ
更年期の頻尿・尿もれは、エストロゲンの減少による自然な体の変化のひとつです。恥ずかしいと感じて一人で抱え込まず、骨盤底筋トレーニングや生活習慣の見直しといったセルフケアを試しながら、症状が強い場合は婦人科・泌尿器科に相談してみましょう。早めに対策を始めることで、これからの毎日をより快適に過ごすことができます。私も骨盤底筋を意識するようになってから、以前ほど不安を感じずに外出できる日が増えた気がしています。
更年期の不調全般については更年期はいつから?症状が出る年齢とサイン、関節や腰の痛みも気になる方は更年期の関節痛・腰痛対策まとめも参考になります。